ワールドビジネス研究会 酒向 敦

1.ワールドビジネス研究会(WBS)について
ワールドビジネス研究会は、東京都中小企業診断士協会の認定研究会です。
海外ビジネスに関連するトピックス的なテーマを取り上げ、外部専門家や会員に講師になってもらい、質疑応答を行い会員同士で研鑽しています。
月例会は本年2月で第142回目を数えました。分科会活動も行われており、「研修事業分科会」はその一つです。
その研修事業分科会で「中小企業海外展開支援講座」を運営しています。

2.ツール開発の経緯と講座
中小企業診断協会のホームページに掲載されている「中小企業の海外展開支援業務と知識体系(以下『知識体系』)は、診断協会の依頼を受けて当研究会のプロジェクトチームが2017年2月に作成したものです。

 

この『知識体系』は、診断士が中小企業の海外展開支援を行うにあたり、必要な業務と知識を体系化したツールとなっています。非常に有用なものですが、あくまでもやるべきこと、知っておくべきことをキーワードとして体系化したものであり、実務経験の多くない診断士にとっては、やや取っつきにくいかもしれません。
この点を補い、多くの優秀な診断士の方々に海外展開業務についての理解を深め、より効率的に支援業務に携わることが学べる講座を企画するため、2017年8月に研究会内に 「研修事業分科会」を新設し、講座の規模、内容、カリキュラムなどの研究開発を行いました。
その結果、約2年間の準備期間を経て、「海外展開支援の実務を学ぶ、中小企業診断士向けのユニークな講座」が完成しました。

3.「中小企業の海外展開支援講座」の企画・運営
(1)講座の構成と内容
前述の通り、当研究会の研修事業分科会では、海外ビジネス経験や実際の企業支援の経験の豊富な会員達が意見を出し合い、『知識体系』を時系列のフローに落とし込み、海外ビジネスの経験が豊富ではない診断士も、またすでに海外業務に従事している診断士にも段階を追って、かつそれぞれのレベルに沿った知識が修得できる講座にまとめ上げました。

講座の内容は基礎知識だけでなく、講師それぞれが経験した具体例や「成功するノウハウ」、「失敗事例」なども含め、理解しやすくかつ実践的な講義内容になっています。

講義は講師による解説が中心のものと、参加者を数名のグループに分けて行う「ワークショップ」があります。
ワークショップでは、実在する中小企業の海外進出成功事例を取り上げ、「支援先企業の分析から投資事業計画の作り方」まで、一貫した海外直接投資の準備に関する実務が学べる内容としています。

上のように、講義とワークショップをバランスよく組み合わせ、全10回、月1回の講座を作り上げました。
この講座を受講すれば、海外ビジネスの基本的な知識が体系的に理解でき、受講した中小企業診断士が、将来支援先企業が「輸出をしたい」、「海外進出を検討したい」との要望が出てきた時にスムースな支援対応ができるようになると考えています。
各回のコンテンツは、次のとおりです。

(2)2019年度の第1期講座の成果
第1期は2019年6月にスタートし20年7月に無事17名(登録は18名)が受講を修了しました。残念ながら新型コロナ禍の状況下で、最終回は集合研修ができず、Zoomにて講義・ワークショップを実施し、予定していた全行程を無事終了することができました。
また、講座のブラッシュアップのために、毎回講義終了後にアンケートを実施し、講師および講義時間ごとに、①講義の内容、②講師の話し方、③テキストの内容、④運営内容・体制について、受講生からアンケートによるフィードバックを受け、そのつど改善を行いました。

全講義を通じたアンケートの集計結果は、5点満点中で平均4.2~4.8の評価でした。
全ての講座が終了した後の評価として、『未経験者にとって「海外進出支援業務」はベールに包まれているようで、全容を把握するには非常に困難であるが、「体系的に」「手厚く」教えていただいた貴重な講座でした。』 などのコメントもあり、関わった大勢の講師、スタッフ全員の苦労が報われたと感じることができました。

(3)2020年度 第2期講座のオンライン対応
第2期講座は新型コロナ禍で当初計画より遅れ10月に開講しました。教室での集合開催とオンライン講座の複合形態とした事もあり、東京と東京近辺の診断士だけでなく、東海、関西、北海道、九州など日本全国で海外業務に興味をもつ中小診断士を本講座の受講対象者として募集しました。
講義の内容や構成については、第1期の反省や評価を踏まえた修正を加え、質的向上を図りました。会場は、六本木ヒルズのハリウッド大学院大学の教室を確保しました。会場とWebを同時につないで講座を開催することが可能な環境であり、その点でも利便性が高まりました。

また第2期では本講座の特徴である次の3点について、より強調しています。
①「中小企業の海外展開支援業務と知識体系」に準拠する講義内容。
②海外ビジネスや企業支援で実績と経験の豊富な講師が、「知識の提供だけでなく、成功と失敗を含めた
豊富な経験を踏まえて講義する」という、 ユニークな方針に基づいた講義。
③海外ビジネスに必要な「事業計画」作成の基本を、複数回のワークショップを通じて、経験・成功方法
を体感。(3つのグループに分け、グループごとに担当講師を付け、きめ細かいフォローを行い、受講
生の疑問点を解消)。
それらを踏まえて、第2期は次のような講座内容に変更しました。

4.今後の展開について
第3期講座に向けた準備も進めています。現時点では2021年6月スタートを計画していますが、コロナ自粛対応の状況も踏まえて10月スタートも視野に入れて検討しています。
また同時に、本講座の内容は海外ビジネスに取り組む人々にとって、ビジネスを成功させるために不可欠な、知識とノウハウが網羅されている事から、「民間の中小企業の経営者や担当者」、「金融関係者」なども対象にした新たな講座企画も検討していきたいと考えております。
現在、新型コロナ禍で海外ビジネスに対しては自粛ムードが漂っていますが、オンライン展示会、Zoomなどのコミュニケーションツールの普及により、海外ビジネスの市場はよりボーダレスとなってきています。
我々は、この時期にこそ、確かな海外ビジネスの支援ができる国際派診断士を、一人でも多く育成していくことが、今後の診断士の活躍の場を広げるためにも有効であると考えています。
第3期の講座開催予定については、当講座のホームページを確認してください。
検索ワード:『中小企業海外展開支援講座』
URL:https://rmc-tokyo-wbm.jimdofree.com/